写真・文=澤村 徹
Kistarシリーズ4本目となるKistar 40mm F2.4は、KSEとKFX、2種類のマウントをラインアップしている。これまでKSEマウントをα7シリーズに付けて紹介してきたが、今回はKFXマウントのKistar 40mm F2.4を取り上げてみたい。
KFXマウントは言うなれば富士フイルムX互換マウントだ。富士フイルムのミラーレス機Xシリーズに装着できる。ソニーα7シリーズがフルサイズイメージセンサーであるのに対し、富士フイルムXシリーズはAPS-Cサイズのイメージセンサーを搭載している。フルサイズ機よりイメージセンサーがひとまわり小さいわけだ。そのためKistar 40mm F2.4を付けると、焦点距離は35mm判換算60mm(40mm×1.5倍)となる。周辺部がクロップされる分、画角が狭くなるからだ。これが絵作りにどう影響するのか。KFXマウントのKistar 40mm F2.4はここがポイントになるだろう。
今回用意したボディは富士フイルムX-S10だ。上位モデルのイメージセンサーを小型ボディに収めたモデルである。そのため、薄型軽量なKistar 40mm F2.4と相性がいい。ポケットに入るとまでは言わないが、レンズ交換式カメラのセットアップとしては相当コンパクトだ。気軽にスナップしたいという人にはかなり魅力的な組み合わせではないだろうか。
描写面について見ていこう。Kistar 40mm F2.4は開放のソフトな写りが特徴だ。F4まで絞ると中心部が一気にシャープになるが、周辺部には柔らかさが残る。こうした個性がAPS-Cセンサーで引き継がれるかどうか、ここが気になる。実写してみると、開放のソフトテイストは健在。ピントの芯はしっかりシャープなのに、フワッと柔らかく滲む。F4まで絞ると画面の8割程度はシャープな写りだが、四隅にそこはかとなく甘さが残る。フルサイズ機より甘いエリアが狭くなるのは事実だが、F4の硬軟同居した写りは実感できるだろう。
いろいろなシーンを撮ってみたところ、APS-CイメージセンサーでもKistar 40mm F2.4の描写特徴はしっかりと感じることができた。希代のクセ玉パンケーキレンズを、富士フイルムXシリーズユーザーも堪能してほしい。
Kistar 40mm F2.4
Kistarシリーズ4本目となるパンケーキレンズです。ミラーレス機に直接装着できるように、KSEマウントとKFXマウントを採用しました。レンズ構成は3群4枚のテッサー型。開放F2.4とやや明るめに設計することで、オールドレンズテイストの甘い開放描写を実現しています。