写真・文=澤村 徹
昨年秋以降、立て続けにフルサイズミラーレス機が登場した。キヤノンのEOS R/RP、ニコンのNikon Z 6/7、パナソニックのLUMIX S1/S1Rだ。これらの新型フルサイズミラーレスでも、Kistarレンズは問題なく装着できる。KistarレンズはKCYマウントを採用しており、これはいわゆるヤシカ/コンタックス互換マウントに相当する。新ボディ用のヤシコンマウントアダプターを用意すれば、Kistarレンズが装着可能だ。
今回はKistar 35mm F1.4をNikon Z 6と組み合わせてみた。Nikon Zマウント用のマウントアダプターは、RAYQUAL、KIPON、K&F Concept、SHOTENなど、すでに主要メーカーから発売されている。ここではSHOTEN CY-NZを選んだ。着脱はスムーズで、無限遠はわずかにオーバーインフだった。ジャスト無限遠ではないが、実用上は問題ないだろう。SHOTENのマウントアダプターは側面にダイヤ型の意匠が施してあり、このパターンがKistarレンズのダイヤ柄と良く似ている。レンズとマウントアダプターのデザインを合わせるという遊び心もわるくない。
Nikon Zシリーズで社外製マウントアダプターを使う場合、装着したレンズの情報をセットする必要がある。液晶メニューで「レンズ情報手動設定」を開き、レンズの焦点距離と開放絞り値を入力しよう。今回はKistar 35mm F1.4を装着するので、焦点距離に「35mm」、開放絞り値に「F1.4」とセットした。これらの情報がボディ内手ブレ補正とISOオートの低速限界を最適化してくれる。レンズ情報手動設定はレンズに合わせて適切にセットしておこう。
Nikon Z 6による実写結果は上々だ。開放のほのかな滲み、絞った時の手堅いシャープネス、Kistar 35mm F1.4のテイストを余すところなく引き出してくれる。明るめに撮った時の軽やかな色合い、絵画風の後ボケも心地良い。これまでNikonのデジタル一眼レフはKistarレンズが装着できなかったが、Nikon Zシリーズなら問題ない。Nikon派諸氏にもぜひKistarレンズの妙味を楽しんでほしい。
Kistar 35mm F1.4
Kistar 35mm F1.4は、開放での柔らかなボケと絞り込んだ時のシャープな描写性を重視した広角レンズです。ピッチ研磨されたレンズとアルミ削り出しの鏡筒で、古き良き時代の質感を再現しました。フローティング構造により、無限遠から近接まで撮影距離を問わず高画質な撮影を可能とします。最新の高屈折率ガラスと非球面レンズの効果で、大口径スペックながらも小型化を実現しました。