Kistar the other side 第62回
KFXマウントで28mmの滲みを堪能する

写真・文=澤村 徹

 

2026年1月、ミラーレス用のKISTAR 28mm F3.2が登場した。マウントはKSEとKFXの2種類。KSEマウントはソニー製フルサイズミラーレス、KFXは富士フイルム製APS-Cミラーレスに装着可能だ。本稿ではKFXマウントのKISTAR 28mm F3.2をレポートする。注目ポイントはAPS-C機でどういう写りをするのか、この点に尽きる。

KISTAR 28mm F3.2は広角レンズだが、APS-C機だと35mm判換算42mm相当になる。40mmレンズに近い画角なので、標準とも広角とも言える通好みなフレーミングを楽しみたい。この点は作例とともに後ほどじっくり解説する。

 

レンズ構成は4群6枚で、KLMやKSEマウントの28mm F3.2と同じ構成だ。絞り羽根は6枚。開放で大きく滲み、F11まで絞ると四隅までシャープに写る。

最短撮影距離は0.2m。KLMマウントのKISTAR 28mm F3.2 Mは最短0.5mなので、ミラーレス用のほうが近接に強い。

 

KFXマウントのメリットは、ミラーレス機に直接KISTAR 28mm F3.2を装着できる点だ。マウントアダプターが不要なので、装着した姿が実にスマート。富士フイルムのミラーレスはどこかクラシカルな雰囲気があり、KISTAR 28mm F3.2の昭和テイストのデザインと相性がいい。たしかにKLMマウントのKISTAR 28mm F3.2のほうが鏡胴サイズは小さい。ただし、装着にはマウントアダプターが必要であり、それが見た目に影響する点は否めないだろう。ボディに直接装着できる、それだけで大きなアドバンテージなのだ。

 

富士フイルムXマウントと互換性のあるKFXマウントを採用。ただし電子接点はなく、MFでのピント合わせとなる。

富士フイルムのAPS-C機のなかでも大柄なX-Pro1に装着してみた。そこそこ大きなボディでもKISTAR 28mm F3.2はサマになる。

 

KISTAR 28mm F3.2の特徴である開放の滲みはKFXマウント版でも健在だ。富士フイルムのAPS-C機だと35mm判換算42mm相当になるため、フルサイズとくらべて周辺部分がクロップされてしまう。ただ、KISTAR 28mm F3.2はそもそも周辺が暴れるレンズではない。APS-C機でも開放の滲みというKISTAR 28mm F3.2の特徴はしっかりと伝わってくる。特にハイライト域で滲みが強く、光源や白い被写体を写し込むと“らしさ”が増す。

 

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F3.2 1/480秒 ISO160 AWB RAW 噴水や木漏れ日といったハイライトが柔らかく滲む。その一方でシャドウの締まりがいい。剛と軟が一枚の絵に同居している。

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F3.2 1/2500秒 -0.33EV ISO160 AWB RAW 画面内の白いエリアが総じて滲みをまとう。白を写し込む、これは本レンズを使いこなす大きなヒントだ。

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F3.2 1/1250秒 -0.67EV ISO160 AWB RAW ガラス越しにカフェの店内を写す。右上のゴースト、シャドウの奥に浮かぶ椅子の数々、そしてガラスの写り込み。要素が盛りだくさんの一枚だ。

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F3.2 1/100秒 ISO320 AWB RAW 左下から上に向かってフレアが差す。こういうオールドレンズ風の写りがナチュラルに現れるのがKISTARレンズのおもしろいところだ。

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F3.2 1/340秒 +0.67EV ISO160 AWB RAW パステルカラーの被写体はKISTAR 28mm F3.2の大好物だ。ハイキーで撮ると、淡い色調をうまく再現してくれる。

X-S10 + KISTAR 28mm F3.2 絞り優先AE F11 1/220秒 +0.67EV ISO160 AWB RAW F11まで絞ると隅々までシャープに写る。その際、シャープネスはやや太くなる傾向だ。

 

富士フイルムXマウントの純正レンズに、現時点ではソフトフォーカスタイプはラインアップされていない。KFXマウントのKISTAR 28mm F3.2は、富士フイルムユーザーにとって貴重な選択肢となるはずだ。シャープさを誇るレンズは数あれど、滲みを誇るレンズは決して多くない。KISTAR 28mm F3.2はその滲みを楽しむためのレンズだ。富士フイルムユーザーにとって、新たな写真表現になってくれるだろう。

 

KISTAR 28mm F3.2

開放はF3.2とやや暗めながら、大口径レンズのようにソフトな描写が持ち味です。絞るほどに中心から周辺にかけてシャープな領域が広がり、F11でほぼ全域にわたって結像します。KSEマウントとKFXマウントを採用し、最新のミラーレスカメラに対応。0.2mまで近接撮影できます。

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