写真・文=澤村 徹
前々回のこのコーナーにて、Mマウント版KISTAR 40mm F2.4のパーツ製造についてレポートした。あれから三ヶ月、ついにプロトタイプが組み上がった。現状、世界で1本だけのKSITAR 40mm F2.4 Mを借りることができたので、早速外観から紹介していこう。
※本稿は量産前の試作品で記事を制作しているため、製品版と仕様が異なる可能性があります。この点をご了承いただいたうえでご覧ください。
ライカM10につけて驚いたのは、ミラーレス用のKISTAR 40mm F2.4に比べてひとまわり、いや、ふたまわりほど小さい点だ。単にマウント変換するのではなく、M型ライカにフィットするサイズ感に仕上げてある。当然のことではあるが、ライカのためのレンズというわけだ。見た目はコンパクトだが、真鍮製の鏡胴でズシリと手応えがある。シルバーの塗装も美しく、物としての存在感が撮り手に伝わることだろう。
可動部については、ピントリング、絞りリング、ともに滑らかな動きだ。ヘリコイドを繰り出した際にガタついたり、グリスのしみ出しに辟易することもない。さすがはMade in Japanといったところだ。目の肥えたライカファンにも納得してもらえるのではないか。なお、距離計連動精度については、このプロトタイプの調子を見たうえでさらに調整をかけていく。現時点での評価は控えるべきだが、今回試写した範囲では上々の仕上がりだとだけお伝えしたい。
レンズの描写傾向はミラーレス用のKISTAR 40mm F2.4と同等だ。メーカーから「描写テストは省いてもらってけっこうです」といわれたほどである。あの独自の柔らかさをM型ライカでそのまま楽しめるわけだ。さらに実写して思ったのは、このレンズはレンジファインダーに向いているな、ということ。KISTAR 40mm F2.4は開放で派手に滲むため、ライブビュー撮影だとピントの山がつかみづらいことも。レンジファインダーは二重像合致方式なので、滲みに左右されることなくピント合わせできる。必然性という側面からも、KISTAR 40mm F2.4 Mの登場が待たれる。製品版の登場にはまだいくつかのハードルを越えなければならないが、進展があり次第、ここでレポートをしていきたい。
KISTAR 40mm F2.4
KISTARシリーズ4本目となるパンケーキレンズです。ミラーレス機に直接装着できるように、KSEマウントとKFXマウントを採用しました。レンズ構成は3群4枚のテッサー型。開放F2.4とやや明るめに設計することで、オールドレンズテイストの甘い開放描写を実現しています。左側が現在開発中のMマウント版、KISTAR 40mm F2.4 Mです。