
写真・文=澤村 徹
個性の強いレンズほど、被写体や撮影条件を選ぶ。これは写真撮影の宿命のようなものだ。見方を変えると、レンズに合った被写体が見つかると、そのレンズの実力が遺憾なく発揮されるわけだ。KISTARレンズの描写特性を思うと、桜は好相性な被写体にちがいない。
KISTARレンズはどれも開放が柔らかいが、中でもKISTAR 40mm F2.4 Mの開放は目を見張るものがある。3群4枚のテッサー型を採用した本レンズは、開放F値を明るくすることでテッサー型とは思えないソフトな開放描写を実現した。まるで大口径のオールドレンズのように派手に滲むのだ。この滲みが桜によく似合うはず。そんな目論みで桜を撮影してきた。




結果はご覧の通り、狙いが見事にハマッた。晴天下の桜は思いのほか影が付き、露出を多少上げた程度ではきれいに撮れない。KISTAR 40mm F2.4 Mは軟調な上に滲みをともない、まるで空から綿毛が降ってくるかのようだ。しかも開放F2.4なので、晴天でも露出オーバーにならない。狙い通りの露出で満開の桜を捉えられる。




はじめはライブビューでしっかりピントを合わせながら撮っていたが、次第にレンジファインダーの方がしっくりくることに気づく。KISTAR 40mm F2.4 Mはピントがわずかに外れたところから滲み出す。かといってわざとピントを外すのはあざとい。レンジファインダーでざっくりとピントを合わせ、あくまでも自然な撮影の流れで滲みを誘うのだ。滲みで桜がボリュームアップする様は惚れ惚れする。本レンズは焦点距離40ミリだが、M型ライカ装着時は50ミリのブライトフレームが表示される。ブライトフレームよりもひとまわり広く写り、構図に意識外の要素が入ってくるところもいい。描写と画角の両面で、KISTAR 40mm F2.4 Mは桜撮影を盛り上げてくれる。



KISTAR 40mm F2.4 M

軽快なスナップに適したパンケーキスタイルのMマウントレンズです。距離計連動対応、フォーカシングレバーなど、レンジファインダー向けのレンズとしてこだわった造形になっています。レンズはミラーレス用のKISTAR 40mm F2.4と同等で、開放でソフトに、絞るとキレのある写りが楽しめます。




