
写真・文=澤村 徹
木下光学研究所のKistarシリーズは、総じてクセの強い単焦点レンズだ。個性派レンズのおもしろさは言うまでもないが、人によってはどんなシーンで使えば良いのか、戸惑うこともあるだろう。たしかに描写と被写体のマッチングは大切だ。しかしながら、ちょっとしたコツさえおぼえれば、どんなシチュエーションでもグイグイと攻めていける。今回は海外スナップを例に、Kistarの使いこなしを紹介したい。
今回の訪問先はベトナムの世界文化遺産、ホイアンだ。16世紀以降、国際貿易港として栄え、現在も旧市街が残っている。ホイアンはランタン祭りで有名な場所で、お祭りの日以外でも、旧市街の路地はランタンで明るく照らされる。ランタンの明かりに浮かぶ旧市街、夕暮れから夜にかけての撮影がメインになりそうだ。はじめて訪れる場所なので、画角を稼げる35ミリがいいだろう。そんなことを考え、Kistar 35mm F1.4を選んだ。



Kistar 35mm F1.4はKistarシリーズの中でもっともクセがある。開放では滲みが強く、周辺描写も甘い。こうしたディフューズ感のある描写が、夜のホイアンに良く似合う。何を撮っても夢心地な描き方がおもしろい。ホイアンにKistar 35mm F1.4を持ってきたのは当たりだなと実感した。
とは言え、すべて柔らかいタッチで撮るのでは物足りない。ここが使いこなしのポイントだ。Kistarシリーズは、1~2段絞るだけで描写が豹変する。シャープネスとコントラストが引き締まり、実に端正な描写になるのだ。今回の撮影では、開放F1.4からF2までをメインで使い、パンフォーカス的な絵がほしい場面のみF4まで絞った。




クセ玉は常に描写が暴れるわけではない。絞りによって描写をコントロールできる。特にKistarシリーズは、1~2段絞るだけで落ち着いた描写になるのが特徴だ。どんなシーンに持ち出しても、クセのある描写と端正な描写、双方を思い通りに使い分けできる。Kistarの個性は、誰もが手軽に我が物にできるのだ。



Kistar 35mm F1.4

Kistar 35mm F1.4は、開放での柔らかなボケと絞り込んだ時のシャープな描写性を重視した広角レンズです。ピッチ研磨されたレンズとアルミ削り出しの鏡筒で、古き良き時代の質感を再現しました。フローティング構造により、無限遠から近接まで撮影距離を問わず高画質な撮影を可能とします。最新の高屈折率ガラスと非球面レンズの効果で、大口径スペックながらも小型化を実現しました。




