
写真・文=澤村 徹
はじめに宣言しておこう。これは間違いなくケラレる。微妙にケラレるとか周辺光量落ちっぽいとか、そういうレベルではない。がっつりと四隅が陰になる。
それでもなお撮りたいのだ、KISTAR 28mm F3.2 Mを中判ミラーレスで。
KISTAR 28mm F3.2 Mを中判ミラーレスのGFXシリーズに付けると、35ミリ判換算約22ミリ相当になる。この画角はもう、れっきとした超広角レンズだ。しかし前述の通り、この組み合わせはケラレが発生する。そもそも35ミリ判用レンズを中判ミラーレスの4433センサーと組み合わせるのだ。イメージセンサーに対してレンズ側のイメージサークルが小さく、周辺に陰が出るのはやむなしである。



ただ、ケラレてもかっこいい写りならいいのではないか?
そんな思いからあえてこの組み合わせで実写してみた。そもそもKISTAR 28mm F3.2 Mは収差の多い滲み玉だ。そこにケラレが加わったところで、収差好きにはむしろご褒美ではないのか。思えばオールドレンズの中には、周辺減光ともケラレとも判断がつかないようなきわどい写りのレンズも珍しくない。
実写してみると、四隅に濃い陰ができる。円周魚眼とまではいかないが、潜望鏡をのぞいているような窮屈な視野がおもしろい。開放撮影では像が派手に滲み、こういうローファイな写りなのだと割り切ればそれなりに使えてしまう。中判ミラーレスで超広角22ミリ相当というワイドな画角も見逃せない。




実際の撮影では被写体に気をつかうことが多かった。たとえば背景が晴天だと、どうしてもケラレが目立ってしまう。薄暗いシーンや込み入った背景ならケラレが悪目立ちしない。また、無限遠よりも近接においてケラレが軽くなる場面が多かった。こうした特性を踏まえながら、臨機応変に撮影方法を切り換えていく。



たしかにケラレと周辺光量落ちは別ものだ。四隅が暗いからといって同列に扱うわけにはいかない。ただ、ケラレているからダメ、という考えは堅苦しくないか。KISTAR 28mm F3.2 Mの滲みというポテンシャルに、GFXならケラレも付与できる。そんな“反則ワザ”すら楽しみとして撮影に取り入れるのもわるくない。
KISTAR 28mm F3.2 M
開放はF3.2とやや暗めながら、大口径タイプのようにソフトな描写が持ち味です。絞るほどに中心から周辺にかけてシャープな領域が広がり、F11でほぼ全域にわたって結像します。KLMマウントを採用し、M型レンジファインダーカメラで0.7mまで距離計連動が可能。ライブビューであれば0.5mまで近接撮影できます。





