Kistar the other side
第17回 一生モノのリアキャップ

写真・文=澤村 徹

リアキャップはレンズの付属品だ。あって当たり前、わざわざお金を出して買うまでもない、という認識の人が多いだろう。ただし、ヤシカ/コンタックスマウントのリアキャップは少々事情が異なる。ヤシコンのツァイスレンズを使っている人ならば、リアキャップがいつの間にか外れてしまった経験があるだろう。同マウントは構造上、リアキャップが外れやすい。カメラバッグの中で後玉が剥き出しになって冷や汗をかいた、なんて失敗もままあることだ。不用意に外れないリアキャップがほしい。これはヤシコンマウントレンズ好きの切なる願いだ。

こうした状況を踏まえ、木下光学研究所からかつてない製品が登場した。それがKCYメタルリアキャップだ。ロック機構付きの金属製リアキャップで、同社のKistarレンズ向けの製品である。ちなみに、Kistarレンズが採用するKCYマウントは、有り体に言うとヤシカ/コンタックス互換マウントだ。Kistarレンズは無論、それ以外のヤシカ/コンタックスマウントのレンズにも装着できる。

Kistar 55mm F1.2にKCYメタルリアキャップを装着した。キャップの外径をマウント面のサイズを揃えてあるので、とても収まりが良い姿だ。

ヤシカ/コンタックスマウントのDistagon T* 35mmF1.4にKCYメタルリアキャップを取り付けた。KCYマウントはヤシコン互換マウントなので、ヤシコンツァイスに問題なく装着できる。

KCYメタルリアキャップはアルミ削り出しパーツによる金属製だ。それゆえにレンズとの装着感が重要になる。固くて金属同士が擦れ合うような状態は論外。かと言って、ゆるくてガタ付くようでも困る。本製品の装着感は極めて軽く、ほぼ抵抗なく回すことができ、まるでマウントに吸い付くような感触だ。また、ロック解除ボタンのフィーリングも特筆に値する。適度な押し応えでありながら、あくまでも軽いのだ。開発者によると、ロック解除ボタンの感触は特にこだわりのある部分だと言う。押し込むたびにカチカチッと指先に伝わる感触、このリアキャップは金属フェチにはたまらない魅力だ。

金属製バヨネットを備えた本格的なリアキャップだ。装着はスムーズで、レンズ側マウントへの負荷は最小限に抑えられている。

キャップを回すと完全にロックでき、このロック解除ボタンを押して取り外す。大きなスクエア型で押し込みやすい。

樹脂製のリアキャップと比べると、その質感の良さは言うまでもない。外径を大きくして、レンズとの一体感を高めたデザインになっている。

たかがリアキャップに大袈裟な、と思うかもしれない。しかし、キャップなしではレンズを持ち運べない。それどころか、防湿庫に仕舞うにしてもキャップは不可欠だ。カメラボディは消耗品だが、レンズは財産である。大切なレンズを守るリアキャップだからこそ、こうした贅沢も許されるというものだ。

 

KCYメタルリアキャップ

木下光学研究所オリジナル設計の金属製リアキャップです。ロック機構を備え、KCYマウント(ヤシカ/コンタックス互換マウント)レンズの後玉を強固に守ります。今後、木下光学研究所直販分のKistarレンズには、このKCYメタルリアキャップが標準付属します。キャップ単体の販売も行っています。

 

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